この記事では、日本プロ野球(NPB)でのビデオ判定について、
1.ビデオ判定に関する解説
2.ビデオ判定(チャレンジ)をリクエストすることができる回数
3.ビデオ判定の基準
3.ビデオ判定のメリット、デメリット
4.ビデオ判定を導入したことによる影響
について解説します。
Contents
日本プロ野球におけるビデオ判定制度(チャレンジ制度)に関する解説とまとめ
日本プロ野球では、2010年のから新たに導入された制度で、リクエストと呼ばれるもの。
一言でいうと、
審判の判定に不満があった場合、ベンチからビデオ判定による再審を要求することができる
というものです。
ビデオは、球場の複数個所に設置しているカメラの映像を用います。
しかし、現状では球場ごとにカメラの性能等が異なるため公平ではない部分もあります。
リクエスト制度のルール
リクエスト制度に関して、対象プレー以外のルールは次のようになっています。
- リクエストを行える回数は2回。成功した場合は回数は減らず、延長戦を迎えると1回増える
- ビデオを用いた検証は審判が行い、1回の検証時間は5分以内
- ビデオ判定の結果に対して異議を唱えることは許されない。異議を唱えた場合は退場となる
回数は、1試合につき2回まで。
誤審だと思われるプレーに対して、監督が再審を要求することでビデオ判定が行われます。
例えば、ランナーがタッチアウトになった場面で、攻撃側の監督がセーフじゃないかと、
リクエストをすることができます。
その時に、実際にビデオをみてセーフだった場合には判定が覆り、アウトだったものがセーフとなります。
反対が覆った場合はリクエスト成功となり、回数は減りません。
判定が覆らなかった場合は、リクエストをした側の監督のリクエスト回数が減ります。
もし、0回になってしまった場合、明らかにおかしい判定を見つけても
リクエスト要求ができなくなるので、最低1回は残しておきたいと考えます。
そのため、2回権利があるとはいえ、1回失敗してしまうとかなり厳しい状況になります。
検証の時間に関しては、試合時間の短縮のために制定されたものです。
結果に関する意義を認めないというのも同様ですね。
ビデオ判定の結果にまで講義をされていたらそもそもビデオ判定を導入した意味が薄れますし、
試合時間も伸びてしまいます。
リクエスト制度の対象となるプレー
基本的にはボールデッドのときのプレーが対象となります。
その中から一部のプレーを除いたものが、リクエスト制度のプレーとなります。
例えば、
- ホームランかどうか
- コリジョン,スライディング,頭部死球の判定(2019年より追加)
- 1塁を駆け抜けたランナーがアウトかセーフかの判定
- タッチがしっかりされていたかどうか
というのがリクエストの対象プレーになります。
リクエストの対象にならないプレー
- 投手の投げたボールが、ストライクであるかボールであるかの判定、またはボーク
- 打者のスイングに関する判定(スイングか、ハーフスイングか、自打球か)
- 走塁妨害、守備妨害、インフィールドフライ
ストライク、ボール、ハーフスイング等に関してはリクエストの対象になりません。
また、走塁妨害や守備妨害などもリクエストの対象になりません。
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リクエスト制度(ビデオ判定)の明確な基準
ビデオ判定において、審判が判定をするときの基準は明確には定められていませんが、
ビデオをもとに、通常プレーと同様の基準で判定をします。
ただ、通常の場合(ビデオ判定ではない場合)に、タッチアウトの場面やなどのきわどいプレーがあった時には、
同時セーフというのがありますが、ビデオ判定の場合、スローで再生して検証を行うため、
同時セーフというのは起こりにくくなっているかと思います。
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リクエスト制度(ビデオ判定)のメリットとデメリット
メリット
- 誤審を大幅に減らすことができる
- リクエストによって試合の流れを変えることができる(戦略的に使える)
デメリット
- リクエストに対する判定のため、試合時間が長くなってしまう
- カメラ、モニター等の機材の導入、維持にコストがかかる
- 球場ごとに平等にシステムがあるわけではないために、不公平が生じる可能性がある
- 選手のプレーを集中してみなくてはいけないため、監督(ベンチ)の負担が大きくなる
メリットに関しては言うまでもなく、誤審の減少ですね。
リクエスト制度が導入された経緯も、明らかな誤審があったからです。
そういう誤審は記録から見ても明らかに減っているので、
導入した意義はあったはずです。
デメリットとしてもいくつかあげました。
試合時間が長くなってしまうというのは、一つの懸念であったと思いますが、
結果として平均試合時間には大きな影響はでていないというのが記録からわかっています。
3番目の平等なシステムがないというのは、主にメジャーリーグ(MLB)との違いですね。
MLBではすべての球場に平等にカメラを設置し、判定もニューヨークにいる専門の判定員が行うようになっています。
そのため、NPBと比べて公平性があり、また精度も高くなっているといえますね。
しかし、これらのデメリットに関しては、これから技術の発展やルールの見直しで改善していけることであるので、
これからのNPBの運営に期待したいところです。
リクエスト制度を導入したことによる影響と変化
リクエスト制度の導入によって、一番大きな影響があったのは誤審の減少ですね。
リクエストの成功回数、成功率を見ても明らかです。
例えば、2019年のリクエスト成功率を見ると、
監督 | チーム | 成功率 | |
1位 | 井口監督 | ロッテ | 37% |
2位 | 矢野監督 | 阪神 | 36.4% |
3位 | 工藤監督 | ソフトバンク | 34.3% |
4位 | 辻監督 | 西武 | 34.1% |
このように、30%程度で、成功数が多いチームでも約3回に1回成功しているという状況です。
ちなみに最下位はヤクルトの小川監督で、22.6%となっていました。
こうなると5回に1回ですね。
2020年の場合は、
監督 | チーム | 成功率 | |
1位 | 三木監督 | 楽天 | 44% |
2位 | ラミレス監督 | DeNA | 40% |
3位 | 栗山監督 | 日本ハム | 38.9% |
4位 | 原監督 | 巨人 | 38.7% |
2019より大幅に成功率が上がっていますね。
それによって、1位の楽天の三木監督は22回も成功しており、
同時に誤審のあった回数も表しているといえます。
最も成功率が低かったのは、中日の与田監督とオリックスの西村監督です。
それぞれ、
与田監督:35回リクエスト、成功7回失敗28回 成功率20%
西村監督:20回リクエスト、成功4回失敗16回 成功率20%
この成功率の変化は様々な要因がありそうですが、リクエスト制度の導入によって、
ベンチがとれる戦略の選択肢が増えたといえるので、
ベンチの采配の重要性も増したのではないかと思います。
まとめ
リクエスト制度は、2010年に始まった制度で、初めはホームランだけの判定に使われていました。
しかし、いまでは対象となるプレーも増え、戦略を考える上での重要性も増しています。
2019年と2020年のリクエストの成功率を見ても、各チームまだ研究段階で、
ルール自体も変化してきているので、まだまだ最適化する余地はあるかと思います。
もともとは、誤審を回避するために導入された制度で、
実際に判定を覆すことができますが、それによって審判が悪かったということにはしないようにしたいですね。
審判も人間なので間違えることはあるでしょう。
なので、これからも球団側がしっかりとルールを周知していき、
プロ野球を見る人たちが、しっかりと納得できる形で楽しく見れるようなルールになっていってくれると嬉しいですね。